

予防接種の目的は「ワクチンで防げる病気:VPD」を事前に予防接種することで赤ちゃ んに免疫を作ることです。VPDとは、Vaccine Preventable Diseasesの略です。
2023年に厚生労働省から承認された新規インフルエンザワクチンで、少量のワクチン液を左右それぞれに1回ずつ鼻腔内に噴霧するのみで、注射針は使用しません。
■フルミストの特徴
・鼻に噴霧するため痛みが少ない
・接種回数が1回で効果の持続期間が長い
・従来の不活化ワクチン予防接種のインフルエンザ株と異なる株が流行してもワクチンの効果が期待できます。
■副反応
・接種後に30-40%の人で接種後3~7日までに感冒様症状(鼻水、咽頭痛、咳など)を認めたり、発熱が数%の人で見られることがあります。
・稀に、発疹、蕁麻疹の他、アナフィラキシーショックやギランバレー症候群のような重篤な副反応が報告されています。
■接種ができない方あるいは注意が必要な方
・適応年齢以外の方 2歳未満、19歳以上の方
・卵白やそのほかのワクチン成分に対して重度のアレルギーやアナフィラキシーの既往がある方
・アスピリン服用中の方
・ステロイド・免疫抑制剤の内服により免疫が著しく低下している方
・免疫が著しく低下している方と接触する可能性のある方
・明らかな熱(37.5度)がある方
・重篤な急性疾患に罹患していることが明らかな方
・妊娠していることが明らかな方
・重度の喘息を持っている方、また喘息発作が最近ある方
・その他医師が接種不適当と判断した場合
日本の厚生労働省は不活化ワクチン(皮下接種)については 13歳未満接種回数2回、13歳以上1回としていますが、米国CDC (米国疾病予防管理センター)1) では、9歳以上は1回接種、9歳未満の方で過去に2回接種した方は1回、それ以外の方は2回となっています。当院ではこの方法をお勧めしたいと思います。
ただし、我が国における治験では 3歳未満では 1回接種と2回接種とでは 抗体価の上昇に差があることから 3歳未満は一律 2回接種とした方がよいと思われます。
1)CDC “Child Immunization Schedule Notes:Recommendations for Ages 18 Years or Younger, United States, 2025”
ワクチンは、感染症の原因となるウイルスや細菌を精製・加工して、病原性(毒性)
を弱めたりなくしたりして、体にとって安全な状態にしたものです。本当にかかって
しまう前にワクチンを接種して、その感染症に対する抵抗力(免疫)を作るもので
す。予防接種は100%安全なわけではありませんが、予防接種によって得られるメリ
ットが大きく上回っていることから推奨されています。
現在は予防接種の数が多くやや複雑ですが、それぞれ予防接種スケジュールを立てて
順序よく計画していきましょう。また一回に複数のワクチンを接種しますが特に問題
はありません。
定期接種 (定められた年齢の期間内であれば公費でできる予防接種) |
任意接種 (費用は自己負担) |
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小児用肺炎球菌 | 不 | インフルエンザ | 不 | |
B型肝炎 | 不 | ポリオ | 不 | |
ロタウィルス | 生 | 3種混合 | 不 | |
4種混合(ジフテリア 百日咳 破傷風 ポリオ) | 不 | |||
5種混合(ジフテリア 百日咳 破傷風 ポリオ ヒブ(インフルエンザ菌b型)) | 不 | |||
BCG | 生 | |||
MR(麻しん・風しん混合) | 生 | |||
水疱(みずぼうそう) | 生 | |||
日本脳炎 | 不 | |||
2種混合 | 不 | |||
子宮頸がん | 不 |
※不:不活化ワクチン、生:生ワクチン
※公費対象のワクチンだが年齢が外れてしまった場合はご相談ください。