葵町こどもクリニック   こども発達神経クリニック   Aoicho Children's Clinic

葵町こどもクリニック

発達障害について

発達障害とは:

 発達障害は脳機能(認知)の障害と考えられ、遺伝的な要因と、環境による要因が発達障害の発症に関与していると考えられています。子どもの脳のさまざま機能の発達は例えば運動面、精神面、社会性、などバランスよく成長するのですが、これがでこぼこに(偏りがある)なって発達した状態とも考えられます。

発達障害の原因とは:

1. 遺伝的素因
 発達障害は総じて男児に多い事や、双生児の研究からおそらくもって生まれた遺伝的な素因が大きく関係しているのではないかとされています。
2. 環境要因
 1の遺伝的素因が主要な原因とされていますが、子供はさまざまな環境の下で成長する過程で発達期の脳のネットワークなどにさまざまな修飾が起こるのではないかともされています。

発達障害にはどのようなものがあるのか:

 発達障害は大きく3つの状態があります。ただしそれぞれ独立して存在するというより、子供によってはこの3つの状況が併存している場合もあるます。

(1)ADHD(注意欠如・多動症)
 最も頻度が多く子供の約1割にみられるとされています。行動特徴として多動、落ち着きがない、よくけがをしやすい、迷子になりやすい、ちょっかいを出し、切り替えが悪く、突然自分の考えていることなど発言、話をしても上の空、居眠り、言ったことを忘れやすい子どもたちです。不器用、頻尿、電話番号が覚えられない、道を間違う、時間が守れない、友達との約束を忘れてしまう、話がぎこちない、意味のないことにこだわるなどがあります。

(2)ASD(自閉スペクトラム症)
 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)とは、以前、自閉性障害(Autism)、アスペルガー症候群(Asperger Syndrome)、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、小児期崩壊性障害(CDD)などと呼ばれたものを含みます。自閉症の特性を持つ子供を見るとその症状に幅があり一つのまとまったスペクトラム(連続性)の中にあることから自閉症スペクトラムと定義されました。症状は幼児期から認められ3歳~4歳には診断が可能です。約半数には知的障害が伴い、てんかんを合併する例もあります。行動特徴は決まった順序でやらないと気がすまない、自分の好きな同じ話題・活動ばかりをする、1つのことに熱中するので、同時に2つのことができない、音や触られることに敏感、目があっても視線をそらす、物事の重要性が区別できない、他人に関わろうとせず、集団で遊んだり、ルールを守って遊ぶのが上手くできない、他人の存在を忘れ、耳が聞こえないように見える、癖やチックのように同じ手の格好や動作を繰り返す、動いたり回転するものに強い興味をもつなどがあります。

(3)限局性学習症(学習障害)
 学習障害(Learning Disability, LD)は、知的に正常の能力がありながら読む(ディスレクシア)、計算する(ディスカルキュリア)、書く(ディスグラフィア)の3つの機能のいずれかあるいは複数に障害があり、学習面で困難を起こしている状態を指します。ADHD、ASDに併存することがあり、特にADHDの併存はよく見られます。

これら3つの状態への対応には幼児期、学童期などの教育に携わる方たちと医療との連携は大変重要です。